祭りが終わって・・・

 

願はくば癌で死にたし籐寝椅子       卓三

三島救急センター初代所長の田邊治之さんから『ガンほどすてきな病気はない』と題した自著をいただいた。ガンは死期の予測が可能で、その間に身辺の整理ができる、ということが書かれていた。田邊先生は肝臓ガンを患っておられて、治療を受けないままやがて亡くなられた。『患者よ、がんと闘うな』の近藤誠氏が登場していない、二十数年も前のことである。

ま~爺は十数年前に脳梗塞の発作を起こして救急搬送され、そのまま三ヵ月ほど入院した。爾来、死(とくに突然死)を意識するようになった。一昨年末に妻に先立たれてからはとくにそうである。『徒然草』の兼好法師は、死は後ろより来る、と宣ったらしいけれど、その死はおそらく突然死のこと。後ろでなく前にあって、人が死と向き合えるのがガン死である。

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